FAQ
■タバコ葉の乾燥方法(キュアリング)
収穫したタバコの葉から適正レベルの水分を取り除き、乾燥させることをキュアリングという。いくつかの乾燥方法があり、使用目的やタバコ葉の種類によって使い分けられる。
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| サンキュアド |
直射日光の下で乾燥させる方法。この方法で乾燥させられたタバコ葉は、ポリフェノールの酸化の度合いが変化するため、中間色となる。 |
| エアキュアド |
直射日光を避けて空気中で乾燥させる方法。この方法で乾燥させられたタバコ葉の色は、ポリフェノールの酸化によって茶色になる。 |
| フルキュアド |
人工的に熱を加えることによって乾燥させる方法。この方法で乾燥されられたタバコ葉の色は、ポリフェノールの酸化が抑制されて、カロチンやキサントフィルが出現することにより、黄色から濃いオレンジ色になる。 |
| ファイアキュアド |
生木を燃やした上で乾燥させ、その香りを吸収させる方法。この方法で乾燥させられたタバコ葉の色は茶色になる。 |
■タバコ葉の種類
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| バージニア種 |
元々現在の米国バージニア州でつくられていたことから、バージニア種とよばれている。この品種はその使途によって、フルキュアド、エアキュアド、ファイアキュアドといった乾燥方法が選択される。フルキュアドのバージニア葉は世界中で生産され、その色と心地よいアロマは世界的に有名だ。シガレットに使用され、単体で使用する場合(バージニア・シガレット)もあれば、アメリカン・ブレンドの一部に使用される場合もある。また軽いパイプタバコにも使用される場合がある。エアキュアドのバージニア葉はパイプタバコに使用され、ファイアキュアドのバージニア葉は噛みタバコに使用される。 |
| バーレー種 |
バーレーは明るい茶色をしており、ココアを連想させる特別なアロマをもつ。シガレットのブレンドには、フルキュアドのバージニア、オリエンタルと共に、重要な役割を果たす。主要な生産地は、アメリカのケンタッキーとテネシーだが、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、中南米といった地域でも今日生産されている。 |
| オリエント種 |
元々ギリシャ、ブルガリアからトルコに至る地中海性気候の石灰岩地帯で栽培されていたタバコ品種の総称。極端に雨の少ない条件下で、有機質の乏しい土壌に栽培されるため、一般に丈が低く、葉も小さい。特有の芳香を楽しめる。喫味が柔らかく燃焼性が良いため、紙巻タバコの原料として大きな需要がある。 |
| ラタキア |
刺激性のある燻臭の強い喫味が特徴で、地面に近いところで生育する小さめの葉をもつオリエント種。パイプタバコの原料として用いられる。もともとはシリア産でシリア北西部の葉タバコ輸出港の名にちなむ。類似のものがキプロスでも生産されている。生木を燃やし、直火燻蒸を行う際に大量に発生する煙によって、特徴のあるスパイシーなアロマができる。 |
| ペリック |
米国ルイジアナ州セントジェイムズ群で少量生産される黒色の縮れの強い葉タバコ。独特の甘酸臭があり、強い香味をもつ。現在ではパイプタバコの原料として使用されている。強圧による樽発酵で仕上げるのが特徴。 |
| キャベンディッシュ |
パイプタバコ。葉たばこを圧搾し、製品によってはさらに加熱し、時間をかけて甘く濃い味に仕上げられ、フレーク状に加工される。強圧するので、色はダークブラウン、マホガニーに仕上がる。 |
| グリーンリバー |
米国ケンタッキー州北部のグリーンリバー地域で収穫される、ダーク・エアキュアド・タバコ。重めのタバコ葉は噛みタバコに使われるが、軽めのタバコ葉はパイプタバコに使用される。 |
| シートタバコ |
タバコ製品の材料として使用される、タバコの葉・茎・粉状になった破片などを混ぜ合わせ、紙のように薄くシート状に引き伸ばしたもの。耐性を強化するために、木製繊維など、若干添加物を加えてつくられる。シートタバコは、主にマシンメイド・シガーのバインダーやシガレットに使用される。 |
| マタ・フィナ |
ブラジル産のタバコ葉で、特徴的な香りがすることで知られる。 |
| メリーランド |
アメリカ原産の、軽めのエアキュアド・タバコ葉。イタリアや日本などでも生産されている。柔らかくて燃焼性に優れている。くせのない味わいで、比較的含有ニコチン値も低い。 |
コネチカット・ ブロードリーフ |
メリーランド・ブロードリーフから開発された幅広い葉をもつ。バインダーに主として使用される。 |
シェード (シェード・グロウン) |
日陰で育てられ、ラッパーに使用されるタバコ葉。強い日差しから守るためにテントでブロックし、同時に風や乾燥からも守る。スマトラ葉が高価なためアメリカ国内でそれに代わるタバコ葉として開発されたが、現在ではアメリカ以外でも、中央アメリカ、カリブ海諸国、ブラジル、エクアドルなどで生産されている。 |
| クリオロ |
アルゼンチン産のサンキュアド・ダークタバコ全般を指す。クリオロの後ろにつく名前は、生育した場所の名前である。 |
| ハバナ2000 |
1979年にキューバで再発した青黴によって、キューバの有名な農場の多くは壊滅した。このため、品質の高いキューバン・ラッパーに使用されていたコロヨ・シードに代わる種の開発がなされた。その結果の一つが、H2000シードである。H2000シードは、コロヨ・シードよりも、青黴や立ち枯れ病に対して抵抗力があり、青黴に対して耐性のなかったコロヨシードに代わるものとなった。 |
| ネグロ・サンアンドレ |
メキシコで栽培されるダークタバコ(暗い色合いや濃い味わいによって特徴づけられるタバコ葉の分類の一つ)の一種。 |
| オロール |
大きくて重い葉をもつタバコ葉の品種。葉の葉脈のある側が、茎に対して直角に向いて生えているのが特徴で、ドミニカ共和国で栽培されている。 |
| ピロト(又はピロト・キュバーノ) |
伝統的なドミニカ産のロングフィラーのタバコ葉のことで、フルネームは「ピロト・キュバーノ」。バインダーやフィラーに使用される。その名前が示すように、キューバ原産の種であるが、ドミニカ共和国でよく生育している。シガーに豊かで深く濃い味わいをもたらすタバコ葉である。 |
| リゲロ |
フィラーに使用されるタバコ葉の一つ。「Ligero」という言葉自体は「軽い」という意味を表すが、植物の上部から収穫されたタバコ葉を表現するのに使われる。これらの葉は、中でも豊かな香りをもち、一番暗い色をしている。ブレンドに力強さを与える役割を果たす。 |
■フィルター
シガレットのフィルターに関する用語の説明。
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チャコール・ フィルター |
活性炭の性質を利用したフィルター。デュアルフィルターかトリプルフィルターが普通である。前者は二つの同種または異種のフィルタープラグの切片を接続したもので、吸い口部側にはプレーンフィルターを、反対側にはフィルター繊維間に活性炭の微粒子を散布したものを用いるものが多い。後者は二つの同種または異種のフィルタープラグの切片間に隙間を設け、活性炭粒子で満たしたもので、吸い口部側にはプレーンフィルターを用いるものが多い。 |
キャビティ・ フィルター |
紙巻タバコに使用されるフィルターの一種。アセテートまたは紙のいずれかのフィルタープラグの切片の間に空洞をつくり、そこに活性炭またはその他の吸収剤を入れたもの。 |
| プレーンフィルター |
アセテートや紙などの単一素材からなるフィルターのことをいう。 |
| フィルタープラグ |
フィルター巻き上げ機によって巻き上げられ、適当な長さに切断されたフィルターのこと。 |
| アセテート繊維 |
セルロースの酢酸エステルを原料とする繊維。紙巻タバコのフィルター用として使われる。 |
■加香
フレーバー(香り)のつけ方には次の二通りがある。
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| ケーシング |
タバコ葉をカットする前に、ブレンドしたタバコの葉に甘味料や香料などを混ぜ込んで添加すること。 |
| トップドレッシング |
タバコ葉をカットする前または後に、香料をスプレーして添加すること。 |
■葉巻の構造
葉巻は基本的に3つの構造から成り立っている。中心の核となる部分を成すフィラー。その回りを包むバインダー。最後に葉巻全体を覆うのがラッパー。
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| フィラー |
葉巻の一番内側に巻き込まれる葉タバコ。ラッパーやバインダーに比べ、小型、または小さく切断されている。葉巻の香味の根幹を形成する。ロングフィラー(葉を刻まずに使用する)、ミディアムフィラー(長めに葉を刻む)、ショートフィラー(葉を細かく刻む)があり、手巻きにはロングフィラーやミディアムフィラー、機械巻きにはショートフィラーが使用される。 |
| バインダー |
フィラーを棒状に巻き上げている葉タバコやシートタバコのこと。中巻き葉ともいう。弾力性、燃焼性に優れ、フィラーの香味を引き立て、葉巻の香りや味をまとめる働きがあるものがよいとされる。 |
| ラッパー |
葉巻の最も外側に巻かれ、外観や外香、形態を整える葉タバコ。上巻き葉ともいう。葉巻においては、製品それぞれの特徴的外観や魅力を生み出すために、最も重要なパートである。 |
■葉巻の色
葉巻の基準の一つ。キューバにおける、クラロ、コロラド、マデューロというラッパーの色区分による分類から、ハバナタイプの葉巻の区分表示となったもので、これにデリケートな香喫味を合わせたものが出来上がり、世界にイメージとして根付いた。
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| マデューロ |
暗褐色。かなり強い香り。 |
| コロラド・マデューロ |
濃褐色。強い香り。 |
| コロラド |
帯赤褐色。やや強い香り。 |
| コロラドクラロ |
明るい淡褐色。中庸な香り。 |
| クラロ |
明るい淡蒼褐色。デリケートで軽快な香り。 |
■その他
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| アメリカン・ブレンド |
紙巻タバコの代表的製造方式。世界中の多くのメーカーが製造しており、現在最も流行しているスタイル。多彩な原料を組み合わせ、バランスのとれた軽快な香りや味が特徴となっている。ブレンドは、本場アメリカの製造法によれば、黄色種45~55%、バーレー種30~40%、オリエント種5~10%、メリーランド葉1~2%といわれている。これらの葉タバコ原料以外にも、シートタバコなども含まれる。 |
参考出典:「たばこの事典」たばこ総合研究センター(山愛書院)/"TOBACCO ENCYCLOPEDIA" Voges (TJI)